次亜塩素酸水関連のエビデンスまとめ

日本には「次亜塩素酸水の空中噴霧は有害無益」みたいな言説が溢れているが、次亜塩素酸水は人体への影響が少ないし、消毒効果は高いし、人のいる空間での噴霧も行われているし、健康被害の報告もほぼない。COVID-19は目に見えない空中の感染性微粒子を経由して広がるのだから、有用なら活用すべきだ。

本ページはtwitterの 2021/11/16 12:42 から始まる@sunasajiのスレッドを一部修正した上で纏めなおしたものである。

目次:


Hypochlorous Acid: A Review

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7315945/ 口腔外科系の専門誌Journal of Oral and Maxillofacial Surgery査読付きで掲載された、次亜塩素酸に関するレビュー。
使いやすく、安価で、優れた安全性で、広範囲の殺菌殺ウイルス効果があると評価されている。Google翻訳でここで読める。

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Environmental Disinfection of a Dental Clinic during the Covid-19 Pandemic: A Narrative Insight

https://www.hindawi.com/journals/bmri/2020/8896812/ こちらはBioMed Research International掲載された、COVID-19パンデミック中の歯科医院で使える環境消毒についてまとめた論文。

次亜塩素酸水以外に、過酸化水素の空中散布も効果があり得る。
紫外線やオゾンについても説明されていて参考になる。
Google翻訳はここから読める。

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The Potential Use of Hypochlorous Acid and a Smart Prefabricated Sanitising Chamber to Reduce Occupation-Related COVID-19 Exposure

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7837568/
次亜塩素酸水の人体への噴霧がダメだと言ってる人もいるけど、Risk Manag Healthc Policy掲載された論文には、プレハブの消毒チャンバーで職業関連のCOVID-19曝露低減する方法が整理されていて、有効性や毒性についても説明されている。

次亜塩素酸の噴霧室でCOVID-19への職業関連の曝露を低減できる可能性
Google翻訳はこちら

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Fight Against COVID-19: ARCI’s Technologies for Disinfection

https://link.springer.com/article/10.1007/s41403-020-00153-3
インドの政府系研究機関が開発した、14個のノズルから人体に次亜塩素酸水を噴霧するチャンバーが政府系大学病院でも使用されているし、流体シミュレーションでしっかり人体を覆うことが計算されている。空気加熱や紫外線消毒も活用しているようだ。
Google翻訳はこちら

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平成20年度 ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書

https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/pdf/houkokusyo_110613_02.pdf
SARS-CoV-2ではなくてノロウイルス不活化の話だが、国立医薬品食品衛生研究所が作成して厚労省のサイトに掲載されている報告書で、次亜塩素酸水は「次亜塩素酸ナトリウムのような漂白作用、腐食作用、人体に対する影響がない上、低濃度で高い殺菌効果を持つなどの特徴を持つ」と言われている。
表8より、次亜塩素酸溶液噴霧により、ヒトノロウイルス、マウスノロウイルス、MS2ファージ等において、PCR検出遺伝子量も感染価も3桁以上減少していることがわかる。

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資料4 電解次亜塩素酸水の薬効・安全性に関する情報収集の結果について

https://www.env.go.jp/council/10dojo/y104-01/mat04-7.pdf
これは環境省のサイトにあった、ホシザキ電機中央研のデータ。
ホシザキは業務用厨房機器メーカーとして絶大な信頼を誇るブランド。
農業用ビニールハウス内で25ppmの次亜塩素酸水を散布した場合の影響について言及されている。
「人体へ与える影響はほとんどないと考えられる」とのこと。

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各種病原微生物に対する弱酸性電解水の効果

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsei1986/14/4/14_4_255/_pdf/-char/ja
20年前に出ていた論文。
噴霧ではなく直接作用させた場合だけど、各種病原体が1/1000レベルにまで減少している。
強酸性電解水より弱酸性電解水の方が消毒効果が高いようだ。
手洗いでも空中噴霧でも著しい除菌効果が観察された。
「本弱酸性電解水は各種病原微生物に対して優れた殺菌効果があり, 安全で種々の用途への応用が期待される」

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医療福祉施設における室内微生物汚染の制御に関する研究

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jergo/43spl/0/43spl_0_216/_pdf
コロナ禍前の2007年。北海道大学、北海道立衛生研究所等が関わっている。

「気相において電解水による高いインフルエンザウイルス不活化効果も得られた。加湿することで室内の低湿度状態の改善も可能であり、電解水を使った加湿はインフルエンザ対策に非常に有効であると考えられた。」

インフルエンザウイルスに対する評価だが、噴霧により気相インフルエンザウイルスの99.97%が不活化された。3桁以上減少。かなり有効じゃない?

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亜塩素酸水製剤の病院環境整備剤としての安全性と有効性の検討

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsei/34/2/34_106/_pdf/-char/ja
空間噴霧ではないが、消毒剤として病院での活用も有効であり得る。
・手荒れや湿疹を感じるスタッフの割合は有意に減少
・導入後にノロウイルスや下痢の発生数が減少
・アルコールで消毒しづらいノロも発生ゼロに

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インフルエンザウイルス感染防止システム開発のための基礎的研究

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shasetaikai/2007.2/0/2007.2_1375/_pdf
北大の著者らの2007年の論文。小学校や大学でも効果あり。
微酸性電解水の特徴
・殺菌料として食品添加物に認定
・低濃度で強い殺菌力
・種々の細菌や真菌や従来の消毒薬に耐性を示す細菌芽胞にも効果

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機能水を歯科診療所で使用して20年

https://i.kawasaki-m.ac.jp/jsce/jjce23_2_113.pdf
2014年の日本臨床環境医学会学術集会の抄録。
1994年からだから25年前にも使われていたのか。
・洗口剤として使用できる
・各種機器の洗浄、消毒に使用できる
薬事法で医療機器として承認されている機能水機器もある

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弱酸性次亜塩素酸水溶液の殺菌効果の基礎的検討および食品・畜産分野への適用に関する研究

https://repository.lib.tottori-u.ac.jp/ja/4858
鳥取大のリポジトリにある、岡山のエイチ・エス・ピー社の取締役研究開発部長で農学博士の小野朋子氏の論文も参考になる。
・カット野菜の洗浄にも有効
・50ppmの弱酸性次亜塩素酸水を鶏に飲用水として長期間与えても影響は見られなかった
・噴霧して鶏卵の殺菌にも有効だった

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他にもGoogle Scholarとかで機能水とか電解水とか次亜塩素酸水とかで少し調べれば、30年以上前から食品衛生や医療現場や農業などで、人の居る場所でも洗浄消毒空中散布などに使われまくってきた枯れた技術であることがすぐにわかるのだから、叩くならその後でも遅くはない。

https://scholar.google.com/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&q=%E6%A9%9F%E8%83%BD%E6%B0%B4+OR+%E9%9B%BB%E8%A7%A3%E6%B0%B4+OR+%E6%AC%A1%E4%BA%9C%E5%A1%A9%E7%B4%A0%E9%85%B8%E6%B0%B4&btnG=

2021/11/16 20:42


都市公共施設における室内微生物汚染の対策に関する研究

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shasetaikai/2005.3/0/2005.3_1633/_pdf/-char/ja
2005年、北大。16年前に室内噴霧してたのか。
次亜塩素酸水の空中噴霧は、呼吸器粘膜の過剰乾燥を防ぎ、かつ浮遊微生物に対して良好な殺菌効果を発揮することが示され、感染症対策として極めて有効であると考えられた。

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塩素系薬剤を用いた微生物対策 実大空間における超音波霧化による次亜塩素酸水と微酸性電解水の殺菌効果の検証

https://www.jstage.jst.go.jp/article/aije/80/716/80_945/_pdf/-char/ja
日本建築学会環境系論文集に掲載。
菌に対する効果であるが、バイオロジカルクリーンルームで次亜塩素酸水を条件を変えて噴霧し、流体解析もしている。濃度も必要。

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酸性電解水(次亜塩素酸水)の生物学的特性

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/48/2/48_90/_pdf/-char/ja
透析会誌、2015年。
・幅広い抗菌スペクトル
・即効的な作用
・低毒性
ランニングコストが安い
・蛋白などの有機物で殺菌効果が低下する
・錆びやすい
電解水は,殺菌効力のある次亜塩素酸を簡単・誰にでも生成・使用可能にした。

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殺菌劑ト細菌トノ量的關係竝ニ殺菌作用ノ本態ニ對スル知見補遺

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsb1917/19/4/19_4_359/_pdf/-char/ja
傳染病研究所槍査部、実験医学雑誌、昭和10年(1935年)
次亜塩素酸水の殺菌効果については85年も前に国内でも論文になってたのか。
次亜塩素酸ナトリウムより次亜塩素酸水の方が「殺菌力遥かに強大」と。

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飲料水ノ清浄法ニ次亞鹽素酸鹽ノ應用ニ就キテ

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsb1904/6/0/6_0_279/_pdf/-char/ja

衛生學及細菌学時報、1914年。
次亜塩素酸塩で飲料水を殺菌する効用について述べている。なんと縦書きの学術文書。
日本では107年前に次亜塩素酸の殺菌効果がわかっていた。「くろーるかるく」は次亜塩素酸カルシウム。

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「飲料水ノ殺菌ニ試ミラレタルハ一千八百九十六年とらうべTraubeニ初マリ」「近年米國ニ於テ上水道ニ其應用ヲ見ルニ至レリ」
「此次亜鹽素酸曹達ヲ使用スル時ハ硬度ニ不良ノ影響ヲ及ボサヾルノミナラズ其殺菌作用愈鋭敏ニシテ水中ニ棲息セル細菌ノ大半ヲ撲滅スルノ働アリ」
次亜塩素酸が、水道を変えた。

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Wikipedia「塩素消毒」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%A9%E7%B4%A0%E6%B6%88%E6%AF%92

水に少量の塩素を加えると高い殺菌効果があることは、人類が100年以上前に見つけた叡智だったのよな。水処理場での初期の試みは1893年にドイツで行われたそうだ。
次亜塩素酸塩水溶液はアルカリ性で次亜塩素酸水とは違うが、濃度が薄い場合は殆どが次亜塩素酸として存在する。

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次亞塩素酸鹽ニ依ル空氣淨化法

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsb1917/25/6/25_6_708/_pdf/-char/ja
実験医学雑誌、1941年。80年前から噴霧してたのか。
空中噴霧も「ある程度までは利用できる」と言っている。

空氣ノ淨化ニhypochloriteノ噴霧「ガス」ヲ以テノ空氣ノ淨化ハアル程度マデハ利用デキルガ.臭氣ソノ他ノ缺點ガアルト。
※缺點=あら

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大気中の微生物

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/63/2/63_2_119/_pdf/-char/ja

1968年、53年前。
こちらは次亜塩素酸水より消毒力の劣る「次亜塩素酸ナトリウム」の噴霧の話だが「きわめて低濃度で有効である。40,000,000mlの空気中に1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液1gを噴霧することによって空中菌の99%以上を殺すことができる」とのこと。

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千九百八年伯林傳染病研究所 第二囘微生學會報告 談叢

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsb1895/1909/164/1909_164_462/_pdf/-char/ja
細菌學雜誌(1909)、112年前。
次亜塩素酸含有消毒剤アンチホルミンの細菌溶解作用は、第一に次亜塩素酸の強い酸化作用によるものであろうと言っている。

「アンチホルミン」ハ次亞鹽素酸加里及苛性加里ノ混合物ナリ即チ有名ナルヂヤーベル水ニ那篤倫鹸液ヲ加ヘタルモノナリ此者ノ細菌溶解性作用ハ次亞藍素酸ノ含有ノ結果恐ラクハ先第一ニ強度ノ酸化作用ヲ誘起スルニ起因スベシ

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水産卜其ノ防疫ニ關スル業績

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsb1917/14/7/14_7_813/_pdf/-char/ja
実験医学雑誌,1930年。戦前から次亜塩素酸塩は牡蠣や魚等の保存に使われていた。

「元來次亜鹽素酸曹達ニ關シ實験セル學者少カラズ例ヘバWellsハ牡蠣ノ清浄用ニ使用シテ著効アリト稱シ」
「Gibbsハ魚類冷藏ニ本鹽ヲ含有スル氷塊ヲ利用スルトキハ優秀ナル成績ヲ得可シト云ヒ」

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細菌・ウイルス等微生物に対する次亜塩素酸水の効果とその活用

https://www.ndmc.ac.jp/wp-content/uploads/2020/08/42-1-008-014-1.pdf
医大誌,2017年

・微酸性次亜塩素酸水の微生物等に対する殺菌効果や不活化効果は,次亜塩素酸ナトリウム水溶液のそれよりも極めて高い
次亜塩素酸ナトリウムは昭和元年(1926年)から我が国においても製造開始

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・医療現場での殺菌消毒,上水道供給施設における水の消毒,塩素系漂白剤として汚れの原因となるタンパク質を分解したり色素を落としたりする目的等,多岐にわたって使用され続けている。
・昭和25年(1950年)には食品添加物としての指定を受け,食品製造施設における洗浄および殺菌工程などでも使用

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・医薬品グレードや食品添加物として使用されるものについては,製造工程で発生する副生成物の塩化ナトリウム等の不純物が除去されたものが流通している。
・殺菌効果等は塩素の酸化力によってもたらされるが,仮に,ClO -と HOCl の有効塩素濃度が同じであったとしても HOCl の方が強い殺菌効果。

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アルカリ性である次亜塩素酸ナトリウム水溶液などでは,HOCl よりも OCl -の存在比率が高い。pHの低下にともなって HOCl の存在比率が増加し,pH6から4ではHOCl がほぼ全体を占める(pH4.5:99.9%)。
pHが4以下になると塩素が発生する。

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近年ではHOClが多量に含まれた水溶液(微酸性次亜塩素酸水)をpHの調整によって作りだして殺菌等の目的で使用する試みがなされている。この様に,単純に「次亜塩素酸」と呼ばれることの多い次亜塩素酸ナトリウム水溶液は次亜塩素酸イオンをメインとする水溶液であり,HOClからなる水溶液とは全くの別物

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・次亜塩素酸水はHOClの存在比率が90%以上の水溶液
・液性の違いで,強酸性次亜塩素酸水(pH2.7以下),弱酸性次亜塩素酸水(pH2.7-5.0),微酸性次亜塩素酸水(pH5.0-6.5)に区別
・微酸性次亜塩素酸水は中性領域に最も近く,毒性試験及び刺激性に関する試験を実施しても問題となる所見は認められていない
・殺菌効果は次亜塩素酸ナトリウム水溶液のおよそ80倍
・低濃度でも次亜塩素酸ナトリウム水溶液と同等あるいはそれ以上の殺菌効果
・各種微生物を微酸性次亜塩素酸水(57ppm)に添加し,経時的に生菌数を測定して殺菌効果を検討したところ,低い有効塩素濃度でも1分以内でほとんどが死滅

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・HOCl は光や熱に弱く,空気との接触面積が大きいほど短時間で分解してしまう
・微酸性次亜塩素酸水を利用するには,その都度用事調製する
・食塩などを原材料とする電解技術を用いた製造方法(電気分解法)と次亜塩素酸ナトリウムと強酸を用いて溶液のpHを低下させる製造方法(二液法)が知られている

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・微酸性次亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウム水溶液とは異なる特徴を有している(表3)
・微酸性次亜塩素酸水は平成14年(2002年)に食品添加物としての指定を受け,カット野菜などの消毒で使用されている

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・残留性の低さなどの特徴から環境に優しく安全性が高い殺菌剤として認識されつつある(表4)
・微酸性次亜塩素酸水をスプレーしてウイルス等微生物を殺菌・不活化する検討が行われている
・濃度を20ppm以上にして直接噴霧することで105オーダーの大腸菌が2分以内に検出限界以下となる

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・固体表面上のノロウイルスやインフルエンザウイルスの不活化にも有効
・スプレーの際に発生する微酸性次亜塩素酸水の霧化粒子についても動物実験レベルでその安全性が確認されており,ラットを用いた90日間亜慢性吸入毒性試験では特段の変化が無い
・一般的な薬剤耐性菌に対しても殺菌効果がある

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我々は,この事例を応用して,病院施設内等の閉鎖空間における感染症制御や生物剤に対する除染等への応用を企図した検討を計画している(図3A,3B)。また,前述の微酸性次亜塩素酸水を作り出す緩衝法の原理を応用した簡易型浄水装置の開発を行い,汚染水の簡易浄化について検討をしている(図3C)

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次亜塩素酸ナトリウム水溶液の有用性は古くから良く知られており,殺菌消毒を目的とした用途には欠かせない
・微酸性次亜塩素酸水については,次亜塩素酸ナトリウム水溶液よりも高い殺菌消毒効果
・薬液の安定性が悪いために用事調製が必要
・作製方法の簡便化に関する報告も出始めている

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好中球における次亜塩素酸合成機構の解明

https://www.ueharazaidan.or.jp/houkokushu/Vol.32/pdf/report/015_report.pdf
2018年。次亜塩素酸は恐ろしげで有害な物質に思えるかもしれないが、実は人体内に多量に存在する白血球の一つ、好中球も人体内で次亜塩素酸を生成して細菌と戦っている。
次亜塩素酸は、好中球が細菌を攻撃するための重要な武器。

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次亜塩素酸を中心とした好中球が利用する酸化剤による殺芽胞機構の検討

http://thcu.ac.jp/uploads/imgs/20200622122100.pdf
好中球は細菌をターゲットとして攻撃するものなので、好中球が使うからといって一般に安全とは言えないが、殺菌効果を示す例になる。
次亜塩素酸は薬剤耐性が高い芽胞形成菌にも高い殺芽胞効果を示した。

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酸性水を用いた院内環境整備とMRSA院内感染防止対策

https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/56/6/56_6_363/_pdf/-char/ja
医療,2002年
旧厚生省の国立療養所畑賀病院(現-安芸市民病院)の感染対策副委員長らによる、次亜塩素酸水を活用した感染対策の報告。60箇所に及ぶ検査対象に抜き打ち的に培養検査を繰り返し、院内感染対策を徹底している。

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・院内の清掃は水道水の使用を一切止め,代わりにランニングコストが低く,人体に害のない消毒剤として強酸性水を使用している
・次亜塩素酸水の一種の強酸性水は1996年末に「手指消毒用として」厚生省に認可された
・1997年に医療用器具の殺菌洗浄用にも認可された
ランニングコストが低い(0.4円/L)

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・外来トイレという一般に清浄化が難しい場所で、強酸性水をトイレ全体に噴霧し翌朝培養検査すると、床以外のすべての箇所で殺菌効果が認められた
・床は細菌量が多くタイル張りであることから噴霧では不十分と考え,その後は植木用のジョロで強酸性水を床全体に流す方法に変更し,床からも菌が消失

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・紫外線ロッカーは影は殺菌できないため不完全な殺菌方法といわれていたが、実際に培養検査で効果が見られたため採用
MRSA患者処置後のディスポ手袋の殺菌には培養検査結果より強酸性水噴霧のみでは不十分と判断しウエルパスを採用
MRSA患者収容後の病室滅菌には紫外線消毒,床には強酸性水を使用

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・強酸性電解水の用途としては,医療分野では,厚生省が認めている手指洗浄消毒と内視鏡洗浄消毒の他,床の清拭,各種器具,褥瘡や創部,あるいは口腔などの洗浄除菌に使用されており,標準装備として強酸性電解水製造装置を設置する病院も増加
・ホシザキ電機の電解水生成装置をあらゆる洗浄に活用

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・次亜塩素酸は次亜ソー(次亜塩素酸Na)の約80倍の殺菌スピードで瞬時に殺菌を行い,菌の細胞壁に直接作用するため耐性菌ができない
・次亜ソーは残留性があり,殺菌後水道水で洗い落とす必要があるが強酸性水に含まれる次亜塩素酸は残留性の心配がない
・強酸性水は非常に酸化力が強く金属を錆びさせる

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・人の手指の洗浄で,まれに手荒れが発生するが,既存のアルコール系手指消毒剤に比べるとはるかに手荒れの頻度は少ない.
・強酸性水は排水の汚染,耐性菌の出現確率ともに低く,環境に対しても優しい消毒水といえる
・低コストで院内感染対策するため水道水の代わりに強酸性水を使うマニュアルを整備

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・患者や職員の鼻腔から分離したMRSA株をパルスフィールドゲル電気泳動法によりバンドパターンの相同性を解析し,院内感染のアウトブレイクは収束へ

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20年前から厚生省直轄の国立病院で徹底した次亜塩素酸水による清掃消毒が行われてて、徹底した検査による効果の確認と改善も繰り返されていて凄い内容だと思う。現場の気迫を感じる強いドキュメントである。 日本では次亜塩素酸水は昨年から叩かれまくってるが、使い方によってはとても有能のようだ。


わずか10秒間のイオン交換弱酸性次亜塩素酸処理により新型コロナウイルスを10万分の1以下に!

https://www.osakafu-u.ac.jp/news/nws20210915/
大阪府立大学,2021/9/15プレスリリース
・低濃度(約60ppm)の弱酸性次亜塩素酸で10秒間処理することにより、SARS-CoV-2を10万分の1に低減
有機物(唾液と同じ濃度のタンパク質)存在下でも同様の低減効果を発揮

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Hypochlorous acid solution is a potent antiviral agent against SARS-CoV-2

https://sfamjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jam.15284
次亜塩素酸水はSARS-CoV-2に対する強力な抗ウイルス剤となる
Google翻訳はこちら

・HClO溶液の利点は、物質の消毒だけでなく、効果的な手指消毒剤としても適用できる

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Hypochlorous Acid (HOCl) for disinfection, antisepsis, and wound care in Core Categories 15.1, 15.2, and 13

https://cdn.who.int/media/docs/default-source/essential-medicines/2021-eml-expert-committee/applications-for-addition-of-new-medicines/a.18_hypochlorous-acid.pdf?sfvrsn=35222172_4
次亜塩素酸の消毒、殺菌、創傷治癒
WHOに提出されて掲載されている次亜塩素酸に関する資料。

・次亜塩素酸はSARS-CoV-2も含む広範な病原体にとても有効で環境にも安全な消毒剤である
・2600篇以上の査読付き論文も存在

Google翻訳はここから読める。

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・次亜塩素酸溶液は環境消毒に日常的に適用される。
・次亜塩素酸水の病院等の施設の閉鎖空間における大規模空中散布の有用性が何年にも亘って実証されている。
・創傷管理にも使われており、米国の複数の毒性データベースには、これらの方法の局所適用に対する副作用の報告は無い。

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・次亜塩素酸水は数多くの病原体を99%とか99.9999%等のレベルで失活させる。
・40ppm等の普通に市販されているレベルの濃度で、病原体の種類によっては10秒, 30秒, 5分等で失活する。
・日本の機能水研究振興財団サイトの資料も引用されている。
http://www.fwf.or.jp/kinousui.html

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次亜塩素酸水のベネフィットに関して、いくつものRCT(ランダム化比較試験)のエビデンスもある。
各論文の概要とリンクは本文に書いてあるので、詳細が知りたい人は参照されたい。

https://cdn.who.int/media/docs/default-source/essential-medicines/2021-eml-expert-committee/applications-for-addition-of-new-medicines/a.18_hypochlorous-acid.pdf?sfvrsn=35222172_4

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・次亜塩素酸水に関する研究結果は一貫しており、病原体の殺傷力は歴史の一部となっている。
・人体に対する安全性検証についても実績がある。
・「どんな」病原体についても次亜塩素酸に対する耐性の報告は無い。
・純粋なHOCl(pH4.0〜5.33)への曝露による臨床的有害事象は医学文献には記録が無い。

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次亜塩素酸水の臨床的安全性。
・ラットに有害作用がない
・粘液に対する毒性がない
・予想される曝露をはるかに超える用量での蓄積-刺激試験および感作試験も生体適合
・穿孔性虫垂炎後の腹膜洗浄に用いて感染症が有意に減少
・細胞毒性や皮膚や目への刺激性についても安全と見なされる

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次亜塩素酸水の環境安全性と他の消毒剤との特性比較。
・HOCl分子は反応性が高く病原体や他の生体物質に触れると短命。
・曝露するとHOClは数分以内にNaClとH2Oに分解する。人間の涙のようなものになる。
・環境汚染リスクが少なく、PPEも不要で、危険物取扱が不要で、有毒廃棄物処理なしで廃棄可能。

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次亜塩素酸水のコスト分析。
・100年以上に亘って何千もの論文が出され、卓越した有効性や安全性や耐性病原体の不存在も示されている
・過去の製法では有毒な塩化物を含む溶液が使われていたり高コストであったりしたが、近年は克服された
・今は純粋で安定したHOClを量産可能。コストは2ドル/L未満

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次亜塩素酸水の安全性と有効性の、他の消毒剤との比較表に訳を入れた。次亜塩素酸水メーカーによるものだとはいえ、極端に偏った評価ではないと思う。
そもそも次亜塩素酸水より高くて危険で効果の低い消毒薬を商品にしている既存メーカーはたくさんあるのだよな。

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